親が住まなくなった実家、相続したまま手を付けていない住宅、使い道が決まらないまま残っている不動産——。
関西でも「空き家問題」は年々深刻さを増しており、不動産オーナーにとって決して他人事ではなくなっています。空き家は放置していても自然に解決することはなく、時間の経過とともに資産価値の低下、維持管理の負担、税金や近隣トラブルといった新たなリスクを生み出します。
多くの場合、空き家が生まれるきっかけは「相続」です。相続直後は気持ちの整理がつかず、「とりあえずそのまま」にしてしまう方も少なくありません。しかし、その判断の先送りが、後になって大きな負担となって表面化するケースが非常に多く見られます。いわゆる「実家じまい」も、感情と現実の間で判断が難しく、正解がわからないまま悩み続けてしまう方が多いテーマです。
空き家問題を解決するために必要なのは、早い段階で状況を整理し、不動産・相続・将来の暮らしを一体で考えることです。本記事では、関西における空き家問題の現状を踏まえながら、実家じまいの考え方や相続対策のポイントを整理し、後悔しない判断をするための実務的な視点をわかりやすく解説していきます。
関西で深刻化する「空き家問題」の現状
なぜ空き家は増え続けているのか
関西で空き家が増え続けている背景には、いくつかの構造的な要因があります。
まず大きいのが少子高齢化と人口移動です。
親世代が高齢者施設へ入居したり亡くなった後、子世代はすでに別の地域で生活基盤を築いており、実家に戻らないケースが増えています。その結果、「住む人がいない家」がそのまま残されることになります。また、相続が発生しても兄弟姉妹間で意見がまとまらず、売却や活用の判断が先送りされることも少なくありません。
関西では都市部と郊外で不動産需要の差が大きく、立地によっては「売りたくても売れない」「貸したくても借り手がつかない」という状況も起こります。
こうした事情が重なり、空き家は増加の一途をたどっています。空き家問題は、個人の判断だけでなく、社会構造そのものが生み出している課題だと言えるでしょう。
空き家がもたらす4つのリスク(資産価値・税・管理・近隣トラブル)
空き家を放置することで生じるリスクは、想像以上に多岐にわたります。
第一に、建物は人が住まなくなると急速に劣化し、資産価値が大きく下がります。換気や通水が行われないことで、カビや腐食が進み、数年後には売却や賃貸が難しくなることもあります。
第二に、税金の問題です。特定空家に指定されると固定資産税の優遇措置が外れ、税負担が一気に増加する可能性があります。
第三に、管理の負担です。定期的な清掃や草木の手入れ、防犯対策を怠ると、空き巣被害や不法投棄の温床になることもあります。
そして第四に、近隣トラブルです。老朽化した空き家は倒壊や害獣被害の原因となり、地域から苦情が寄せられるケースも少なくありません。空き家は「持っているだけ」で、時間とともにリスクが積み上がっていく存在なのです。
空き家は「持っているだけ」で負担になる時代
かつては「家は資産だから、いつか使うかもしれない」と考え、空き家を保有し続けることが一般的でした。
しかし現在では、不動産市場や税制、社会環境の変化により、空き家は必ずしも“資産”とは言えない時代になっています。
特に関西の郊外エリアでは、需要の低下により価格が下がり続け、維持費や税金だけがかかる「負動産」と化してしまうケースも見られます。一方で、適切なタイミングで売却や活用、整理を行えば、将来の相続負担を軽減したり、資産全体のバランスを改善することも可能です。重要なのは、「今後その不動産をどう位置付けるのか」を明確にすることです。
感情的な理由だけで保有を続けるのではなく、現実的な視点で判断することが、空き家問題を解決する第一歩になります。
空き家の多くは「相続」をきっかけに生まれている
親が住まなくなった実家、そのまま放置される理由
空き家問題の多くは、親が亡くなった、あるいは施設へ入居したことをきっかけに始まります。
実家は思い出が詰まった場所である一方、相続が発生すると「すぐに決断できない不動産」になりがちです。子世代はすでに自宅を構えていることが多く、自分が住む予定もないため、売却や活用を考えつつも決断を先送りしてしまいます。
兄弟姉妹がいる場合は意見が分かれやすく、話し合いがまとまらないまま時間だけが経過するケースも少なくありません。関西では、親世代が長年住み続けた戸建住宅が多く、築年数が古い物件ほど判断が難しくなります。
「とりあえず置いておく」という選択は心理的には楽ですが、実務的にはリスクを先送りしているに過ぎません。こうして実家は誰にも使われないまま空き家となり、問題が表面化する頃には選択肢が限られてしまうのです。
相続後に判断を先送りすると何が起こるのか
相続直後は、葬儀や各種手続きに追われ、不動産まで手が回らないことも多くあります。
しかし、判断を先送りすることで状況は少しずつ悪化していきます。建物は管理されない期間が長くなるほど劣化が進み、売却や賃貸に出す際の条件が悪くなります。
相続人が複数いる場合、時間が経つにつれて各人の生活環境や考え方が変わり、合意形成がより難しくなる傾向があります。
さらに、名義を共有のまま放置していると、将来的に売却や活用の際に全員の同意が必要となり、実務が停滞する原因になります。税務面でも、固定資産税の支払いは続き、特定空家に指定されると税負担が増加する可能性もあります。相続後の“何もしない期間”は、表面上は変化がないように見えても、実際にはリスクが積み重なっている状態なのです。
関西特有の住宅事情が空き家化を加速させる背景
関西では、都市部と郊外の住宅需要の差が年々広がっています。
大阪市中心部や主要駅周辺では一定の需要がある一方、郊外や古い住宅地では買い手や借り手が見つかりにくい状況が続いています。
また、関西特有の長屋や狭小住宅、接道条件が厳しい土地などは、再利用や建て替えに制約が生じやすく、空き家化しやすい傾向があります。こうした物件は、相続時点では「まだ使える」と判断されても、市場での評価は厳しく、時間の経過とともに価値が下がっていくことが少なくありません。
そのため、関西の空き家問題では、地域特性を理解したうえで早めに方向性を決めることが重要です。
不動産の価値は立地だけでなく、法規制や周辺環境、市場動向によって左右されます。地域事情を踏まえた判断ができるかどうかが、空き家を“負動産”にしない分かれ道となります。
「実家じまい」を考えるタイミングと判断軸
実家じまい=売却ではない
「実家じまい」と聞くと、多くの方がまず“売却”を思い浮かべます。しかし、実家じまいの本質は「実家をどう処分するか」ではなく、「実家を今後どう位置づけるか」を整理することにあります。
必ずしも売却が正解とは限らず、一定期間賃貸として活用する、親族が利用する、将来の相続を見据えて保有するなど、状況に応じた選択肢があります。
重要なのは、感情だけで判断せず、建物の状態や立地、市場性、維持コスト、税負担を冷静に把握することです。
実家には思い入れがある分、決断が難しくなりがちですが、現実的な視点を欠いたまま保有を続けると、結果的に家族の負担を増やすことにもなりかねません。
実家じまいは「何を残すか」「何を手放すか」を考えるプロセスであり、選択肢を正しく理解することが後悔しない判断につながります。
残す・貸す・売る・解体する、それぞれのメリットと注意点
実家じまいには大きく分けて「残す」「貸す」「売る」「解体する」という選択肢があります。
残す場合は思い出や将来利用の可能性を保てますが、維持費や管理負担が継続します。
貸す場合は収益を得られる一方、リフォーム費用や借主対応の手間を考慮する必要があります。
売却は管理負担から解放され、資金を相続対策や生活資金に回せるメリットがありますが、タイミングや価格設定を誤ると納得のいく結果にならないこともあります。解体は土地としての活用幅が広がる反面、解体費用がかかり、固定資産税が上がる可能性もあります。
どの選択肢にも一長一短があり、正解は家族構成や資産状況、将来計画によって異なります。大切なのは「今の気持ち」だけでなく、「5年後・10年後にどうなっていたいか」を基準に判断することです。
感情と現実のバランスをどう取るか
実家じまいが難しい理由のひとつは、感情と現実の間で気持ちが揺れる点にあります。
「親が大切にしていた家だから」「いつか使うかもしれない」という想いは自然なものですが、その一方で現実には維持費や税金、管理の手間が確実に発生します。
感情を無理に切り離す必要はありませんが、感情だけで判断すると、将来その負担を子や孫に残してしまう可能性もあります。
そこで重要になるのが、第三者の視点です。家族だけで話し合うと感情が先行しやすい場面でも、専門家が入ることで現実的な選択肢が整理され、冷静な判断がしやすくなります。感情を尊重しつつ、現実的な落としどころを見つけること。それが、実家じまいを前向きな決断に変えるための鍵となります。
空き家・実家じまい・相続をまとめて相談できるという選択
個別対応ではなく「全体最適」で考えるメリット
空き家、実家じまい、相続対策は、それぞれ別の問題として扱われがちですが、実際には強く結びついています。
例えば、空き家をどうするかという判断は、相続税の負担や遺産分割の方法、将来の資産構成に大きな影響を与えます。
それにもかかわらず、「空き家は不動産会社」「相続は税理士」「名義は司法書士」と相談先が分かれてしまうと、全体像が見えないまま判断を迫られることになります。
その結果、部分的には正しくても、全体としては不利な選択をしてしまうケースも少なくありません。
空き家問題を本質的に解決するには、個別の正解ではなく「資産全体としての最適解」を見つけることが重要です。不動産の活用・売却・保有の判断を、相続や将来の暮らしまで含めて整理することで、初めて納得のいく選択が可能になります。
将来を見据えた空き家対策が家族を守る
空き家問題は、現在の所有者だけで完結する話ではありません。判断を先送りした結果、その負担が子や孫の世代に引き継がれてしまうことも多く見られます。
特に、名義が共有のまま放置された空き家は、次の相続で権利関係がさらに複雑化し、売却や活用が極めて困難になります。一方で、早い段階から空き家の方向性を定めておけば、相続時のトラブルを防ぎ、家族間の負担を大きく軽減することができます。
実家じまいも同様で、「いずれ考える」ではなく、「今のうちに整理する」ことで選択肢が広がります。将来を見据えた空き家対策は、資産を守るだけでなく、家族の関係や安心を守る行為でもあります。感情と現実の両方に配慮しながら判断できる環境を整えることが、後悔しないための重要なポイントです。
相談から見えてくる、空き家問題の現実的な解決策
「何から相談すればいいかわからない」という状態こそ、専門家に相談する価値があります。空き家や実家じまいの問題は、最初から明確な答えがあるわけではありません。
相談を通じて、物件の状態、立地、市場性、相続関係、税務上の影響などを整理していくことで、初めて現実的な選択肢が見えてきます。
アークコンサルティング合同会社は、空き家・実家じまい・相続を一体で捉え、不動産と相続の両面から状況を整理する支援を行っています。売却ありきではなく、保有・活用・整理を含めた中立的な立場での提案ができる点も特徴です。早めに相談することで、「まだ動ける選択肢」が多く残っていることに気づく方も少なくありません。
空き家問題を抱え込まず、現実的な解決策を見つけるための第一歩として、相談という選択肢があります。
まとめ
空き家問題は、単に「使っていない家をどうするか」という話ではありません。その背景には、相続、実家じまい、家族の将来設計といった複数の要素が絡み合っています。特に関西では、住宅需要や立地条件の差が大きく、判断を先送りすることで資産価値や選択肢が大きく失われてしまうケースも少なくありません。
実家じまいも相続対策も、「いずれ考えればいい」と思っているうちに、時間だけが経過し、結果的に家族に負担を残してしまうことがあります。一方で、早い段階から状況を整理し、空き家をどう位置づけるのかを明確にしておけば、感情面と現実面のバランスを取りながら、納得のいく判断をすることが可能です。重要なのは、部分的な対処ではなく、不動産・相続・将来の暮らしを一体で考える視点です。
アークコンサルティング合同会社は、空き家・実家じまい・相続といった複雑な課題を総合的に整理し、オーナーやご家族が無理なく前に進めるよう伴走しています。空き家を「負担」ではなく「整理すべき資産」として捉え直すことで、これからの選択肢は大きく変わります。悩みを抱え込む前に、まずは一度、現状を整理するところから始めてみてはいかがでしょうか。